生きてればいいよ!

新卒で青年海外協力隊。帰国後もベナンで家庭ゴミ収集屋をしている、そんな若者の生きざま。

集めたごみはどこに捨てる?ベナンで「ごみ戦争」に直面

 

すっかりブログの更新が途絶えていました。

 

日本に帰ってきてから4か月半。新しいことを始めたりと、体力と時間の管理に苦戦しています。さて今回は、ベナンでのごみ収集活動で現在直面している問題についてです。

 

「うちの裏にごみを持ってくるな!」住民の反対

2020年6月あたりから、いわば「ごみ戦争」ともいえる状況に直面しています。

 

東京ごみ戦争とは

東京都のゴミ処理に関して1950年代後半から1970年代にかけて江東区と杉並区の間で起きた論争。(https://curama.jp/magazine/302/より引用)

1971年、美濃部都知事(当時)のごみ戦争宣言でこの呼称が一般的となった。当時江東区が一手に東京都内のごみ処理を引き受けていたが、高度経済成長に伴いごみの量が増え、江東区ではハエの大量発生が問題となったことを発端に、江東区民の怒りが爆発した。

 

私たちが活動しているベナン北部ジュグー市では、NGOが収集する家庭ごみはこれまで、市中心部から5kmほど離れた土地に運んでいました。その時の持ち主である農家さんは、ごみを燃やしてその灰をトウモロコシ畑に活かすと話していました。

 

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これまでごみを運んでいた場所

ここの土地は市役所によって指定された場所ではなく、単に農家の方が個人的にごみが欲しいとのことだったので、私たちの団体含めて他のふたつのごみ収集団体も集めたごみをここに持ってきていました。

 

ところが、2020年6月。ここの土地の近隣に住む住民から「これ以上ここにごみを持ってくるな」との声が。総論賛成各論反対(Not in my back yard syndrome)とも言いますが、生活環境から取り除いたごみはどこかに持って行って(理想は)適切に処理されなければなりません。それには同意しますが、悪臭や土壌汚染が伴うごみは自分の裏庭には持ってこられたくありません。

 

市役所との協働にてごみ集積中継地点を模索中

さて、近隣住民からの反対にあった私たちはそれ以降、ジュグー市役所と一緒に次の土地を探しています。

 

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これまでの場所にごみを運べなくなった日、行き場を失ったごみ収集車

6月から場所探しを初めて、8月下旬の現在も未だに場所が決まっていません。ジュグーの現場で実際に活動をする私の活動パートナーは、

「政治家は市民の機嫌取りばっかりやって動かない」

と言っています。これこそ、住民の声を聞きながらも行政がある程度の強制力を持って進めてくれないといつまでもごみはたらい回しです。

 

日本も公害やごみ戦争を経て、大気汚染をしない焼却炉、土壌及び水質汚染をしない最終処分場(埋め立て場)の技術が進歩しました。住民からのこうした声が、行政がもっと廃棄物分野に予算を割く契機になると良いとは思いつつ、財政面での制約が大きいのも事実です。

 

現在ジュグーでごみ収集を行う3つの団体は、それぞれバラバラの土地にごみを運んでいます。私たちの団体は、市役所から仮として指定された道なき雑木林の中。もうふたつの団体は、住宅地とも隣接するキリーの森の中に捨てています。その森の近隣住民は以前よりごみを森に捨てていました。その森に捨てることで今は済んでいるため、その地区のごみ収集率は他の地区と比べても低いです。

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人々がごみを捨てるキリーの森の一部

 

行政の役割、民間(NGO)の役割、市民の役割

一連の「ごみ戦争」から顕著なのは、ごみの管理に関わるそれぞれのアクターが、それぞれの役割を果たして初めて、ごみが適切に管理されるということだと思いました。

 

私が認識しているのは、ジュグー市でのアクターとしては以下の3つです。

  1. 市役所
  2. ごみ収集を行うNGO(私たちと他2団体)
  3. ごみを排出し処分する市民

 

いわゆる先進国やその他多くの国では官民連携が進み、地方自治体がごみ収集業務を民間に委託して行っています。料金徴収まで委託するケースと、料金徴収は自治体が行うケースにわかれます。

 

民間あるいは行政により収集されるごみはそもそも、そこに住む人々が生活の中で排出します。すべてを一緒に収集する混合収集に対して、日本で一般的なように分別収集を行う場合は特に、住民による協力が必要不可欠となります。収集された後のごみが、適切に無害化されることも肝心で、多くの場合それには行政と民間が関与します。

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ごみが排出されてから処理されるまで

 

モノが製造されるところから、少なくともごみが排出されるところから、収集、処理までの一連の流れがうまく回るために、それに関わる多様なアクターがそれぞれの役割を果たすことが必要です。ジュグー市役所、住民と協働しながら、私たちはより効率的なごみ収集システムの構築に向けて活動を続けていきます。