生きてればいいよ!

新卒で青年海外協力隊に参加。帰国後3ヶ月でまたベナンに戻って活動を続けている、そんな若者の生きざま。

現実は本で読むほど簡単ではない!現場で頑張る人々の苦労話

 

国際協力に興味があり、途上国が抱える何らかの開発課題に関する本を読んだことがある人はいるでしょうか。

 

本を読むだけではクレイジーすぎて信じられないような出来事も、現場に来て実物を見たり話を聞いたりすれば、実際に起こっていることなのだと理解できます。最近も、本を読むだけでは信じられないような苦労話を聞いたところです。

 

今回の記事では、現実に起こっている現場で頑張る人の苦労話を、私の活動分野である衛生に絞っていくつかご紹介します。

 

もくじ

 

事例を本で読む場合

私は高校生の頃に発展途上国の現状に興味を持ち、大学生時代はインドやミャンマーなど主にアジアの国で女性がどのような立場で生きているのかを調べていました。それぞれの国の研究者やジェンダーの研究者らの文献を読むことが多かったのですが、文献を読み漁り論文にまとめても、実際に見たものでなければどうも納得して書けませんでした

 

逆に、ベナンに赴任して以降に読んだアフリカ関連の本は、本に書いてあることを頭で理解するだけではなく、実感を伴って、また目の前の現実と合わせながら理解することができました

 

「現場を知っているだけで、本の理解度がこれほどまでに変わってくるのか!」と感動したのを覚えています。

 

とはいえ、現場を知らない人にも実際に起こっていることを伝えるために、そうした本は書かれています。現場に来ないとわからない現場の苦労話は、現場に来ることができない人にとって貴重な情報です。

 

現場の事例

近隣住民がティッピータップを壊す

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ティッピータップ(簡易手洗い装置)

私は協力隊時代以来現在まで、主に小中学校で活動しています。学校の衛生状況を改善したり、子供たちに手洗いやごみ捨ての講習を行ったり。

 

ベナンの学校には上下水道がないので、ティッピータップという簡易手洗い装置の普及活動をしたことがありました。手洗い装置の設置に理解を示してくれた校長がいる学校にはティッピータップを設置してもらい、体育の授業後や食前に、徐々に子供たちが手を洗うようになっていきました。

 

ところがある日、ティッピータップを設置したある学校を訪ねたら、そこにはティッピータップがありません。「取り外したの?」と聞くと、

 

「夕方以降に校庭でサッカーをしに来る近所の人たちにティッピータップを壊された」

 

とのこと。空き容器や木の棒を集めて作ったのに、とても残念です。学校の周りを囲う塀がなく、誰でもいつでも校内に入ることができるため起こった出来事でした。

 

近隣住民が学校の敷地内にゴミを捨てていく

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壊された塀と、外から持ち込まれるごみ

また、手洗いだけではなくゴミの管理に関しても学校で取り組んでいます。毎週の掃除当番を決めて、トイレや校舎の裏などを定期的に掃除するようになった学校がありました。

 

その学校の校長先生が私に見せてくれたのは、校庭の隅にあるゴミの山。近づくと、悪臭がしました。曰く、

 

「学校の裏の道を通る人々が学校にゴミを捨てる」

 

とのこと。前述の、ティッピータップを住民に壊された学校然り、ゴミを投げ捨てられるのも学校の塀が一部崩れていたからでした。しかもその塀も、自然に崩れたわけではなく誰かに壊されたとか

 

また塀を立て直しても、また壊されそう。そんな思いもあり、校長は塀を改修しようとは思っていません。今日も校庭の隅には、外から持ち込まれたゴミの山があります。

 

近隣住民や子供たちが教室や廊下で排せつする

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小学校の廊下

さて、こんな話も聞きました。

 

私自身が子供たちに啓発活動をすることは最近ではほぼなく、学校の校長や教員らに子供たちを指導するように頼んでいます。その進捗を聞きにある学校に顔を出したところ、

 

「昨夜誰かが教室に入ったみたいで、子供たちが使う机の上にうんちがあった。黒板にもうんちがなすりつけられていて、なんでこんなものの後始末をしないといけないのか意味が分からない」

 

とのことでした。考えられません。信じられない。嫌がらせが冗談半分で誰かがやっているとしか思えないし、せっかく掃除をしても外から侵入してくる誰かのこうした心無い行為の積み重ねで、学校をきれいに保とういうモチベーションもそがれてしまいます

 

水道局によって学校にトイレが建設されたが、鍵を渡してもらえない

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小学校のトイレ

最後に紹介する現場で頑張る人の苦労話です。これまで学校にトイレがなかったため、水道局が昨年2018年にトイレを建設しました。そこまではよく、新しくトイレができた当初は学校関係者一同喜んでいました。

 

ところが、建設されてからいつまでたってもトイレのカギが届きません。しびれを切らして校長先生が水道局に状況を聞きに行っても、担当者がいつも不在。先日ようやく「今は忙しいから午後に学校に行く」との返事をもらいましたが、その約束すらもすっぽかれました。

 

きれいなトイレがあるのに、鍵は閉まったまま。子供たちは、校舎の裏で用を足しています。

 

まとめ

現場で理不尽な現実と闘う人たちの苦労話をご紹介しました。

 

現場を知らなければ、「トイレを建設したらすべては解決する」とか「手洗い装置さえ作れば大丈夫」とか思いがちですが(私も、ここまで障害があるとは思っていませんでした)、問題は尽きることがありません。衛生ひとつとっても、地域住民の公共物を尊重する意識までも絡んできます。

 

複雑だし、奥が深いですね。