世界には、様々なトイレがあります。
「ぼっとん便所」を卒業した地域はだいたい、より衛生的な「水洗トイレ」へと移行します。水洗トイレといえば、汚水は下水処理場まで行き処理されると思う方が多いかもしれませんが、下水道が通っていなくても水洗トイレはあります。
今回ご紹介するのは、ベナンの「水洗トイレの汲み取り」のお仕事です。
もくじ
汲み取りをする水洗トイレの仕組みは?
イメージとしては、日本でも使用されている浄化槽のようなイメージです。
浄化槽は、微生物の働きなどを利用して汚水を浄化し、きれいな水にして放流するための施設ですが、各家庭の敷地内に設けられていて、最も身近な汚水処理施設です。
上の説明によると要するに、トイレとくっついている汚水浄化装置ですね。糞尿がいったん浄化槽で処理されてから下水道へ合流します。
さて、ベナンで汲み取りが必要なトイレはどういうトイレかというと、浄化槽のようにトイレとくっついている汚水溜めがあるトイレです。下水道が普及していないベナンでは浄化槽を設置しても処理後の汚水を逃がす場所がないので、汚水溜めを作ってそこにトイレからの排水をためます。
地中にある汚水溜めからじわじわと排水する仕組みになっているようですが、人間のトイレ利用スピードには追い付かないため、汚水溜めからの汲み取り作業が必要です。
トイレの汲み取りは誰の仕事?
トイレの汲み取りは、市役所が担っています。汚水を汲み取ってほしい家庭やホテル、施設などが市役所に申請をして、市が所有する汲み取り車を呼ぶというやり方のようです。
私がボランティアとして働いていた、ベナン北部のジュグー市役所が所有するのはこちらの一台。申請があったら、運転手と作業員の2人組で現場へ向かいます。
トイレの汲み取りに同行!
ベナンに行って1年半ほどが経ったある日、いつものように市役所に行くと汲み取り車が停まっていました。話を聞くと、出動するとのこと!そのとき私はまだトイレの汲み取りを見たことがなかったので、ついていくことにしました。
この日私たちが向かったのは、車で一時間ほど離れた別の市にある、修道院。トイレの汚水溜めは裏庭にあったので、汲み取り車を隣に停めて作業を開始しました。
汚水溜めの蓋を取ると、いっぱいまで汚水が入っているのがわかります。汚水が満杯になってくると、トイレからきつい匂いがしたり、ゴキブリが頻繁にわくようになります。
吸い上げた汚水で車のタンクがいっぱいになったら、20~30分ほどかけて町の外れまで行き、排水。この日は4つの汚水溜めを空にするミッションだったのですが、昼頃から始めて17時前まで働いても終わりませんでした。
- 車のタンクの容量が小さい
- 満タンになったら町の外れまでわざわざ行かなければならない
これらの要因により、無駄な時間がかかっていました。
不足する汲み取り車
今回は私たちの市から1時間ほどかけて別の市へ向かい、汲み取りを行いました。そこの市役所が汲み取り車を所有していないため、私たちがわざわざ駆け付けたんですね。
これって、私からするとおかしいのです。なぜそこの市に汲み取り車がないのか?一台しかない汲み取り車を複数の市が共有するって、どれだけモノが整ってないんだ、と思いませんか。
財源不足のアフリカあるあるかもしれませんが、アフリカだから、途上国だからそれでガマンしなさいという現状があるのはあまりにも悔しい。結局のところ、他に優先するべき課題があるから対策も支援も後回しにされている現状です。優先とかではなく、一番良いのは全部同時に少しずつ進めることなのだけれど。
まとめ
- ベナンの水洗トイレは汚水溜めつき。だから汲み取りが必要。
- 汲み取り車の数が足りていない。