こんにちは。
JICA海外協力隊の制度を利用して西アフリカのベナンにいた頃の私は、それはそれは未熟でした。今も未熟なので、特に最初のころと付け加えておきます。私を期待してくれていたから失望させるのが怖かった、と言いますか。最終的に私の活動を大きく支えてくれたジュグー市長が怖かったんですよね。
今日はそんな、ひよっこ協力隊員がニワトリに成長する過程のお話のひとつです。
ジュグー市長が怖い…
協力隊員として途上国に派遣されると、それぞれ配属先というところに勤務することなります。私の場合は、ベナン北部のジュグー市役所という場所が配属先でした。
配属先であるジュグー市役所での活動のまとめをざっくり先の記事に書いています。↓
www.ricahirao.work
協力隊員は原則、2年間の派遣となります。一年目、自分の活動に自信が持てなかったことから、市長が私に寄せてくれる大きな期待が逆に怖く、ずっと市長から逃げていました。
そもそも現ジュグー市長は、私がジュグーに到着して4か月ほどたったときに就任した人で、ジュグー市役所に日本人ボランティア(わたし)がいると知り、私の活躍にとても期待をしてくれていた人なのでした。市長の期待を裏切り、「なんだ、こいつこんなもんか」と思われるのが怖くて、活動の報告にも行かず、一年目が終わるまで、ずっと彼から逃げてきました。
そんな風にしていて良い関係が築けているわけがなくて、市長と偶然顔を合わせると嫌味をたまに言われるようになりました。「何も言ってこないところを見ると、きみの活動は何も進んでないみたいだね」とか、そんな感じ。それで尚更、市長から逃げるようになりました。
転機は中間報告会
JICA海外協力隊として派遣されると、1年目が終わった時点で中間報告会があります。ベナンの隊員の場合は、配属先(つまりジュグー市役所)に対して、JICAも交えてフランス語で活動報告をするというもの。市役所の最大のボスはもちろん市長なので、市長を避けて中間報告会を開催するわけにはいきませんでした。
これ以上は逃げられないと思い、また未熟でも私なりに精一杯やっていることを知って欲しくて、中間報告会の招待状を市長に直接渡しに行きました。もう逃げられないなら、正面突破しかありません。市長には一回では会えず、彼のオフィスに6回行きました。
彼の就任以来、半年ぶりに彼のオフィスを訪ねると、久しぶりに会う市長はとっても嬉しそうに笑ってくれました。その前の週に私が挑戦した髪型を見かけていたらしく、「あの髪型すごく良かったのにもう解いたんだね、残念」とも言ってくれました。
その日市長がどんな態度であろうと、今まで自信がなかったから面と向かって会いに来なかったことは伝え、謝ろうと思っていました。真っ直ぐ市長の目を見てそう伝えると、活動のどんなことに困っているのか聞いてくれ、アドバイスをくれました。そのとき彼も、真っ直ぐ私の目を見て話を聞いてくれました。
そして最後に、「せっかくあと一年いるんだし、日本語を教えてよ。同じ言語を話すと、人と人の距離が縮まるんだよ。知ってるでしょう」と言ってくれました。これはもう泣きそうなほど嬉しかったです。さすが市長になる人の器は大きい、と思いました。
今まで勝手に怖がって逃げていた相手は全く敵なんかではなくて、むしろ最大の味方にもなり得る人だったのでした。
めでたしめでたし。